1人に頼るのはすごく楽。でも消えた時、どうする?業者キーマン依存
私の物件の修繕業者は、ほぼ1人だ。築古の5物件を、その人に回してもらっている。
何か壊れれば、その人に連絡する。見てもらって、直してもらう。そういう体制で、もう何年も回している。
楽だ。本当に楽だ。でも、ときどき思う。この人がいなくなったら、私はどうするのだろう。
その業者と知り合ったのは、ミツモアという見積もりサイトだった。やってほしい作業を登録すると、対応できる業者から見積もりが届く。私はそこで、水道の詰まりを直してくれる業者を探した。
そのとき来てくれたのが、今のメインの業者だ。水道だけでなく、いろいろなことができる人だった。自分でできないことは、応援を頼んでやってくれる。自分の下にも何人か抱えていて、その人たちに仕事を割り振りながら進めている。個人事業主だが、1人で動いているわけではない。
付き合いを重ねるうちに、その人はこう言ってくれるようになった。「何かあったら、僕に直接連絡してもらえればいい」。入居者からの一次受けを、自分に変えてもいいですよ、と。
頼れる相手だ。だから、自然と何でもお願いするようになった。
なぜ、ひとりの業者に頼るのか。
まず、速い。個人でやっている人なので、小回りが効く。連絡すれば、すぐに動いてくれる。
それから、入居者への対応も積極的だ。「僕がやりますよ」と言って、入居者とのやりとりまで引き受けてくれる。私が苦手な部分を、補おうとしてくれる。
忘れられないことがある。ある部屋が、退去後に部屋中うんこまみれになっていた。誰もやりたくないような仕事だ。それを発見して、そのまま片付けまで対応してくれたのも、その人だった。
あんな部屋を引き受けてくれる業者は、そういない。本当に、感謝しかない。
正直に言うと、1人に依存するのは、すごく楽だ。その人が物件のことを一通り知っているから、説明がいらない。「あそこのアパートの、あの部屋」で話が通じる。
だから、つい頼ってしまう。そして頼るほど、その人にしか分からないことが増えていく。
楽な体制だが、私は「頼れる1人」がいない状態の怖さも知っている。
物件を引き継いだばかりの頃だ。何かあっても、誰に連絡すればいいのか分からなかった。前の連絡先も残っていない。
水道のトラブルで業者に電話したときは、「それはこうやればいいですよ」と、電話越しに直し方を教えられただけだった。見には来てもらえなかった。
誰に、何を、どこまでお願いできるのか。それが分からない。あの状態は、本当に困った。
今のメインの業者と出会って、その困りごとは消えた。だからこそ、この人を失うのが怖い。
これから業者を探す人に、私のやり方を1つ伝えておきたい。
おすすめは、一つの困りごとから始めることだ。私はミツモアで「水道の詰まり」という一つの作業を頼んだ。そこで来てくれた人が、たまたま何でもできる人だった。
一度頼んでみて、仕事が丁寧で、相性が良ければ、次は別のことも頼んでみる。そうやって少しずつ、何でも任せられる関係に育てていく。最初から「何でもできる業者」を探すより、この順番のほうが見つかりやすい。
見積もりサイトのいいところは、いくつかの業者から見積もりが来るので、比べられることだ。値段だけでなく、連絡の速さや、やりとりの感じも分かる。最初に複数の候補を見ておくと、その中の何人かが、いざという時の控えにもなる。
もう一つ、入れておいてよかったものがある。24時間対応のサービスだ。
大家向けに、月額で契約できる緊急対応サービスがある。水漏れ、鍵の紛失、鍵が開かない、ガラスの破損。こういう、朝まで待てないトラブルに、夜中でも対応してくれる。
メインの業者がいても、夜中や休みの日に必ず動けるとは限らない。そういうときの、二重の備えになる。
実際に私が使うのは、主に水漏れだ。それから、入居者が鍵をなくしたとき、鍵が開かなくなったとき。月額はかかるが、これは入れておいてよかったと思っている。
それから、今のメインの業者にも伝えてある。いつか、ほかの業者も見つけなければいけない、と。その人が抱えている協力業者の連絡先も、聞くようにしている。メインの人を通さずに、直接つながれる先を、少しずつ増やしておく。
普段の修繕はメインの業者、緊急時は24時間サービス、その奥に控えの業者。今はこの形で回している。
個人の業者は、小回りが効く。でも、代理がいない。その人が体を壊したり、辞めたりすれば、そこで止まってしまう。
では、企業に頼めば安心かというと、そうでもない。企業であっても、「この人に任せたい」という担当者が辞めてしまえば、結局は同じことだ。人に頼る以上、この問題からは逃げられない。
だから、完璧な備えは難しい。現実的にできるのは、いざという時に動いてくれる人を、前もって調べておくことだ。24時間対応をつけておくだけでも、急なトラブルで誰も来ない、という最悪を避けるための、一つの備えにはなる。
1人のキーマンに頼るのは、楽だ。その楽さを、私は否定しない。
ただ、楽であることと、危ういことは、裏表だ。
頼りながら、その人がいなくなった時の備えも、少しずつ進めておく。その両方を、同時にやっておく。私は、そう考えている。






















