家賃6ヶ月滞納、電話も出ない——警察と一緒に部屋を確認した日
家賃が遅れる入居者は、どこの物件にもいます。でも「遅れる」と「消える」はまったく別の話。電話をかけても出ない、折り返しもない、6ヶ月間ずっと——。今回は、音信不通の入居者に警察と一緒に安否確認をした実録です。「滞納」の本当の怖さは、お金じゃなく「つながりが切れること」だと思い知った話をお届けします。
異変に気づいたのは、3ヶ月目だった
その入居者は、もう20年ほど住んでいる古株だ。
正直に言えば、家賃の遅れは今に始まったことじゃない。だいたい2ヶ月に1回入金がある。水道代に関しては1年分まとめて払ってくる。そういう人だ。
だから最初の1〜2ヶ月は「まあ、いつものことか」と思っていた。
ただ、3ヶ月を過ぎたあたりで「あれ?」と思った。いつもなら、遅れてもどこかで入金がある。今回はそれがない。電話をかけても出ない。折り返しもない。
4ヶ月目、5ヶ月目——何度かけても同じだった。
連絡先は、契約者のお母さんだけ
この入居者、契約の窓口がお母さんなのだ。本人と直接やり取りするより、お母さんを通して連絡を取ることが多かった。
ところが、そのお母さんも高齢だ。この先、お母さんと連絡が取れなくなったら、もう本当につながる手段がなくなる。その不安がずっとあった。
「追い出してやろう」とは思わない。でも、このままじゃどうにもならない。
6ヶ月目、警察に安否確認を依頼した
半年が経った。
家賃のことより、もはや心配のほうが大きかった。連絡がつかないまま、部屋の中で何かあったらどうする——。
最寄りの警察に事情を話して、安否確認をお願いした。
警察の方が住民票をたどって本人を探してくれた。結果、その入居者は無事だった。別の場所に部屋を借りていて、うちの物件はほとんど荷物置き場として使っている状態だったのだ。だから部屋にいなかっただけ。
翌日、本人から連絡が来た。
「お金がなくて払えなくて……でも、少しずつ払っていきます」
電話番号が2つあった
ここでひとつ、恥ずかしい話もしておく。
実は、この入居者の電話番号が2つ登録されていた。私がずっとかけていたのは、古いほうの番号だったのだ。つまり、6ヶ月間「出ない、出ない」と思っていた電話は、そもそも届いていなかった可能性がある。
これは完全に自分の管理ミスだ。連絡先の情報を定期的に確認していれば、もっと早く対処できたかもしれない。
「家賃はいいから、連絡だけはくれ」
連絡がついた後、私はこう伝えた。
「家賃を滞納してもいい。でも、連絡だけはできるようにしてほしい」
その人は「わかりました、すみません」と言った。
——1ヶ月後、また家賃が止まった。電話も出ない。
正直、堪えた。怒りというより、やるせなさだ。こちらは追い出す気もない。ただ、つながっていたいだけだ。なのに、そのたった一つのお願いが守られない。
それでも、今も少しずつだが家賃は入ってきている。完全に途切れたわけじゃない。だから、こちらも諦めない。
なぜ「追い出す」を選ばないのか
家賃保証会社にも入っていない。20年前の契約だ。今さら保証会社に入ってもらおうにも、お金の話になると本人が出てこない。
法的に言えば、滞納が続けば退去を求めることはできる。でも、私はそうしたくない。
地域のために、その人のために、何かできることがあるはず——そう思って大家をやっている部分がある。利益だけで判断するなら、とっくに法的手続きに進んでいる。でも、それは最後の最後の手段だ。
だからこそ、連絡がつかないことが一番困る。つながってさえいれば、一緒に考えられるのだから。
タロウの学び
① 入居者の連絡先は定期的に確認・更新する 今回の音信不通の原因のひとつは、古い電話番号にかけ続けていたことだった。連絡先は変わる。年に1回でいいから、入居者の電話番号・メールアドレス・緊急連絡先が最新かどうか確認しよう。今日すぐできること:入居者名簿を開いて、連絡先が2年以上更新されていない人をリストアップする。
② 「連絡がつく滞納者」と「連絡がつかない滞納者」は別物 お金がなくて払えない人は、話ができれば何とかなる。分割払い、支援制度の案内、行政への橋渡し——方法はいくらでもある。でも、連絡がつかなければ何もできない。滞納が発生したら、まず「連絡がつくかどうか」を最優先で確認すること。
③ 保証会社なしの古い契約は、早めに対策を考える 20年前の契約は、今の基準で見ると保証が手薄なことが多い。保証会社への加入、連帯保証人の確認、契約更新時の条件見直し——できることから手をつけよう。「お金の話になると出てこない」入居者に対しては、更新のタイミングを利用して書面で伝えるのも一つの方法だ。
まとめ:モンスターカード No.003「ゴースト住人」
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | 滞納モンスター |
| 被害 | 家賃6ヶ月分滞納/連絡完全途絶 |
| 原因 | 入居者の経済的困窮+連絡先の管理不備 |
| 対応 | 警察への安否確認依頼/連絡回復後の分割払い |
| 教訓 | 連絡先の定期更新/保証会社なし契約の見直し |
家賃滞納の本当の怖さは、金額じゃない。「つながりが切れること」だ。つながってさえいれば、大家としてできることはたくさんある。でも、連絡がつかなければ、心配することしかできない。
次回は**〔次回記事タイトルをここに入れてください〕**をお届けします。こちらもリアルな実話です。お楽しみに。
家賃滞納の経験がある大家さん、どう対処しましたか? 「連絡がつかない入居者にこうやって対応した」という体験があれば、ぜひコメントで教えてください。同じ悩みを持つ大家仲間の力になるはずです。
※ この記事は筆者の実体験をもとにしたものです。状況によって対応は異なります。トラブルが発生した場合は、専門家(弁護士・不動産管理士など)にご相談ください。