賃貸経営をしていると、予期せぬトラブルが突然やってきます。特に深夜の緊急対応は、大家にとって最も消耗するシーンのひとつ。今回は、上の階の入居者による無断エアコン工事が引き金となり、50万円の修理費と入居者の退去にまで発展した「水漏れ事件」の実録です。同じ目に遭わないための教訓とともに、お読みください。


その夜、入居者から1本の電話が来た

夜中に携帯が鳴った。

画面を見ると、下の階の入居者からだ。こんな時間に、と思いながら出ると、第一声がこれだった。

「天井から水が滝のように出ています」

……天井に蛇口でも付いてるのか。

半分寝ぼけたまま頭の中でそんなことを考えたが、すぐに現実が追いついてきた。これはただごとじゃない。


現場に着いて、絶句した

急いで物件に向かうと、本当に「滝」だった。

天井のクロスが水を吸ってたわんで、そこからぽたぽたどころかジャバジャバと水が落ちてくる。床はすでにびしょびしょ。家具も荷物も水浸しだ。

「どこかで水道管が破裂したのか?」と思ったが、原因はもっと想定外のところにあった。


犯人は上の階のエアコン工事だった

調べてみると、上の階の入居者が自分でエアコンを取り付けていたことがわかった。

それ自体は珍しくもない。問題は、取り付けを頼んだ業者(その入居者の知り合いらしい)が、エアコンのドレンホースを建物の給水管に接続するという、信じられないミスをしていたことだ。

ドレンホースは、エアコンが室内の空気を冷やすときに発生する結露水を外に排出するためのものだ。それが給水管につながっているということは、エアコンを動かすたびに建物の水が逆流し続けていたことになる。

しかも上の入居者は法人。社員が住んでいたのだが、エアコン工事のことは会社として把握していなかったようだった。


夜中に業者が捕まらない

とにかく水を止めて、修理業者を呼ばなければならない。

でもこれが深夜だ。いつもお願いしている業者に連絡しても繋がらない。次の番号、また次の番号——スマホの連絡先を上から下まで片っ端にかけながら、頭の中では最悪のシナリオが膨らんでいく。このまま朝まで水が出続けたら、天井が落ちるんじゃないか。下の入居者の荷物は全滅か。焦りというより、じわじわと迫ってくる絶望感だった。

こういうとき、「夜間対応できる業者をあらかじめ確保しておく」ことの大切さを痛感した。緊急事態は、必ず大家が一番動けないタイミングで起きる。


修理費50万円、でも払ったのは加害者側

翌日から本格的な修理が始まった。

内容は2つ。下の階の部屋の内装改装工事と、上の階の給水管の穴をふさぐ工事だ。かかった費用は合計でおよそ50万円

ただ、これは全額、上の入居者(法人)に請求した。工事を依頼したのは上の入居者で、業者のミスも上の入居者の責任の範囲だ。法人だったこともあって、費用の支払い自体はスムーズに進んだ。


被害を受けた入居者には、できる限りのことをした

問題は下の階の入居者だ。何も悪いことをしていないのに、部屋が使えなくなってしまった。

家賃を2ヶ月分免除した。幸い、目の前の部屋が空室だったので、そこを一時的に提供した。できる限りのことはしたつもりだ。

でも、それでも最終的には出ていってしまった。

気持ちはわかる。突然こんな目に遭って、精神的なダメージもあるだろう。「誠意を見せた」とこちらが思っても、住む人にとっては「もうここには住みたくない」という感情のほうが強くなることもある。


タロウの学び

① 夜間・休日対応できる業者を必ず確保しておく 緊急の水漏れは深夜に起きる。いつもの業者が繋がらないとき、次に電話できる業者のリストを持っておくことは必須だ。今日すぐできること:「緊急連絡先リスト」を作り、夜間・休日でも対応できる水道・電気・鍵業者の番号を最低3件は登録しておこう。

② 入居者の「DIY工事」は要注意 今回のトラブルの根本原因は、入居者が勝手に工事をしたことだ。賃貸借契約には「無断での改造・工事禁止」を明記しておくことが大切。特に法人入居の場合、担当者が変わると情報が引き継がれないことがある。既存の契約書に記載がない場合は、次回更新時に条項を追加することを検討しよう。

③ 誠意を尽くしても、去る人は去る 家賃免除も、仮部屋の提供も、できることはすべてやった。でも入居者が出ていくことを止めることはできなかった。誠実に対応することは大切だが、結果をコントロールすることはできない。今から実践できること:入居者トラブルが起きたときの対応フローをあらかじめ整理しておこう。「家賃免除の上限」「一時転居先の提供可否」「謝罪の伝え方」など、感情的になりがちな局面ほど事前の準備が力を発揮する。


まとめ:モンスターカード No.002「ドレン魔人」

項目内容
分類設備モンスター
被害下階の部屋が水浸し/入居者退去
原因上階入居者による無断エアコン工事(ドレンホースの誤接続)
修理費約50万円(加害者負担)
教訓夜間対応業者の確保/無断工事禁止の契約明記

深夜の水漏れは、緊急対応力と日頃からの備えを試されるトラブルです。今回の件で一番痛感したのは「準備は平時にしかできない」ということ。夜間対応業者のリスト、契約書の工事禁止条項、そしてトラブル時の対応フロー——どれも問題が起きた後では間に合わない。

次回は**〔次回記事タイトルをここに入れてください〕**をお届けします。こちらも笑えない実話です。お楽しみに。

皆さんは、深夜の緊急トラブルでこれが役立った!という対処法はありますか?夜間対応業者の探し方や、入居者とのやり取りで工夫していることがあれば、ぜひコメントで教えてください。大家仲間の知恵を次の記事に活かしていきたいと思います。


※ この記事は筆者の実体験をもとにしたものです。状況によって対応は異なります。トラブルが発生した場合は、専門家(弁護士・建築士など)にご相談ください。

ABOUT ME
大家のタロウ
はじめまして、大家のタロウです。 相続でひょんなことから大家になって、もう10年が経ちました。最初は右も左もわからないまま、ずっと手探りでやってきました。 失敗も、焦りも、「え、こんなことが起きるの?」って出来事も、たくさん経験してきたので、せっかくだから記録しておこうと思ってこのブログを始めました。 難しいことは書けませんが、同じように悩んでいる大家さんの「あるある」や「参考」になれたら嬉しいです。よろしくお願いします。