相続した物件の業者が全員引退していた——DIYで襖を直そうとしてボロボロにした話

物件を相続するということは、建物だけじゃなく「人間関係」も引き継ぐということだ。水道屋、電気屋、ガス屋——先代が長年付き合ってきた業者さんたちとの関係も、セットでついてくる。はずだった。いざ引き継いでみたら、業者さんがみんな引退していた。修繕を頼める人が誰もいない。じゃあ自分でやるか——そう思ってYouTubeを見ながら襖の交換に挑戦した結果、業者さんに「これはひどいですね」と言われた話。
相続で引き継いだのは、物件だけじゃなかった
私の物件は、おばあちゃんから相続したものだ。正確に言えば、まだ引き継ぎの途中でもある。
おばあちゃんは長年、自主管理で物件を回していた。水道のトラブルがあればいつもの水道屋さん、電気の問題があればいつもの電気屋さん。顔なじみの業者さんたちと、長い付き合いの中でうまくやっていた。
私もその関係を引き継げると思っていた。
業者が、みんな歳をとっていた
ところが、いざ引き継いでみると、業者さんたちがみんなおばあちゃんと同じように歳をとっていた。
考えてみれば当たり前だ。おばあちゃんが若い頃から付き合ってきた業者さんたちだ。おばあちゃんが歳をとれば、業者さんも歳をとる。
一人、また一人と引退していく。廃業した人もいる。連絡しても「もうやってないんだよ」と言われる。水道屋さんに至っては、電話はつながるけど現場には来てくれない。「それはこうやればいいんだよ」と電話で教えてくれるだけ。
ありがたいけど、私は素人だ。電話の説明だけでは直せない。
気がつけば、修繕を頼める業者が一人もいなくなっていた。
「自分でやるしかない」——DIYに走った
業者がいないなら、自分でやるしかない。
ちょうど世の中はDIYブームだった。YouTubeを開けば「素人でもできる!」という動画がいくらでも出てくる。「これなら自分にもできるかも」と思った。
手始めに、襖の交換をやることにした。
YouTubeで「襖 交換 DIY」と検索して、評判のよさそうな動画を見つけた。手順は丁寧に解説されている。材料も動画の通りに揃えた。「よし、やれるぞ」と意気込んで作業を始めた。
切ったら、動画と違った
最初の一手で、いきなりつまずいた。
襖を切ってみたら、動画と違う。材質なのかサイズなのか、とにかく動画で見た通りにならない。
こうなると、次にどうすればいいかがわからない。動画は「うまくいく前提」で進んでいるから、失敗したときのリカバリー方法は教えてくれない。検索しようにも、何を調べればいいのかすらわからない。
「とりあえずやってみるか」
そう思って作業を続けた。でも、手を加えるたびに状況が悪くなっていく。どんどんボロボロになっていく襖を前に、途方に暮れた。
「これはひどいですね」
結局、業者を呼んだ。
業者さんが部屋に来て、私が「直した」襖を見た瞬間、一言。
「これはひどいですね」
——何も言えなかった。
横で黙って立っているしかなかった。自分でなんとかしようと思って、YouTube見て、材料揃えて、頑張ったつもりだった。でも結果はプロが見て「ひどい」と言うレベル。素人のDIYの限界を、身をもって知った瞬間だった。
見積もりサイトで「一人の業者」を見つけた
業者探しは切実だった。自主管理で全部やっているから、業者を手広く知っているわけでもない。
最初は知り合いに紹介してもらうことも試した。でも、私には合わなかった。人付き合いが苦手だから、紹介された業者さんが合わなかったときに断れない。「ちょっと違うな」と思っても伝えられない。紹介してくれた人の顔もあるし、言いたいことが言えないまま仕事を頼むことになる。それがストレスだった。
だから、ネットの見積もりサイトを使った。
見積もりサイトなら、複数の業者さんから見積もりが届く。比較できるし、合わなければ断ればいい。顔を合わせずに断れるのが、自分には楽だった。
そうやって何社か試す中で、一人の業者さんに出会った。
草刈りから水道工事まで、一人で全部やってくれる人
その業者さんは、守備範囲がとにかく広い。
草刈り、水道工事、ガス工事——自分である程度できるし、専門外のことでも手配してくれる。しかも、大手に頼むよりは金額もそれなりに抑えられる。
「この人に頼めば、とりあえず何とかなる」
そう思える存在ができたことで、大家業がだいぶ楽になった。何かあったときに電話する先がある、というだけで安心感が全然違う。
ただ、一つだけ不安がある。
その人がいなくなったら、どうするか。
万能な一人に頼りきりの状態は、リスクでもある。バックアップの業者を見つけておかなきゃ——そう思いながら、まだ手をつけられていない。これは今後の課題だ。
タロウの学び
① 相続物件の業者リストは「使えるかどうか」を早めに確認する 先代が付き合っていた業者さんが、自分の代でも使えるとは限らない。相続したらすぐに、業者リストの棚卸しをしよう。連絡がつくか、まだ現役か、対応してもらえるか。使えない業者が多いとわかれば、新しい業者探しを早く始められる。
② DIYの限界を知っておく YouTubeやネットの情報は便利だけど、動画通りにいかないときのリカバリーは教えてくれない。簡単な作業なら自分でやれるかもしれないが、失敗したときの被害が大きい作業はプロに任せたほうが結果的に安く済む。「自分でやって余計に壊す」は、一番もったいないパターンだ。
③ 人付き合いが苦手なら、見積もりサイトを使え 業者探しに紹介ルートは王道だけど、人付き合いが苦手な人には向かないこともある。断れない、言いたいことが言えない——そういう人は、ネットの見積もりサイトを使ったほうがストレスなく業者を選べる。比較もできるし、合わなければ断ればいい。自分に合った探し方を選ぶことが大事だ。
まとめ:モンスターカード No.005「業者ロスト」
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | コスト魔人 |
| 被害 | 修繕を頼める業者ゼロ/DIYで襖をボロボロに |
| 原因 | 先代の業者が全員高齢化・引退/自主管理で業者ネットワークが狭い |
| 対応 | 見積もりサイトで万能な業者を発見 |
| 教訓 | 業者リストの棚卸し/DIYの限界を知る/自分に合った業者の探し方を選ぶ |
物件を相続するとき、建物の状態や家賃収入は気にする。でも、「修繕を頼める業者がいるかどうか」は見落としがちだ。業者がいなければ、建物を維持できない。業者選びは、大家業の生命線だ。
相続で物件を引き継いだ大家さん、業者探しで困った経験はありますか? 「こうやって見つけた」という方法があれば、ぜひコメントで教えてください。同じ境遇の大家仲間の力になるはずです。
※ この記事は筆者の実体験をもとにしたものです。状況によって対応は異なります。修繕やリフォームについては、信頼できる業者や専門家にご相談ください。